ハチドリのしずく

 ハチドリのひとしずく 「~いま、私にできること~」という短い話をご存じですか?

 南米のアンデス地方に伝わるお話です。

 それはこんなお話です。

 森が燃えていました。

 森の生きものたちは、われ先にと逃げていきました。

 でも、クリキンディという名のハチドリだけは、いったりきたり…

 口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは、火の上に落としていきます。

 動物たちがそれを見て、

 「そんなことして、いったい何になるんだ。」

 といって、笑います。

 クリキンディは、こう答えました。

 「私は、私にできることをしているだけ」。

         (『ハリドリのひとしずく』光文社刊)